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甘味処巡り

全ジャンル統一ブログです。 萌え吐き出し日記です。 苦手な方・腐女子を知らない方はご遠慮ください。 妄想もあれば日常のどうでもいい話もあります。 ※冗談の苦手な方は読まないほうがいいです。※管理人は雑食のため、 ジャンル問わず様々な萌語りが入り混じってます。 ※好きなキャラへの偏愛に満ちているため 他のキャラが理不尽な扱いを受けてると思われることもありえますし、あらゆるマンガにおいてダメな組み合わせがありません。 ほぼ全てが好きなキャラへの贔屓と夢と希望と妄想です。 感想は無茶苦茶偏った腐視点です。まともな感想ではありません。 2次創作サイトの感想です。 ダメそうな方は読まないで!自衛と相互理解に勤しもう。

THE LONG KISS GOODNIGHT 日米

「あー、本当に、すまなかった。」
「そうはおっしゃられましても…ねぇ。」
日本は思わず小さくため息をついた。
深々と頭を下げたフランスの肩まで伸ばした金髪が、
揺ら揺らと頼りなく揺れるのを眺めながら、
フランスに謝ってもらうのも申し訳ない話だと、もう一度ため息を付いてみせる。
「あとは、お前達で上手くやってくれ。」と、
互いの上司に問題事を丸投げされて、二人は今この場所にいる。
事の発端は、日本がフランスに貸し出した美術品が見事に故障して帰ってきたことだった。
もともとは両国の友好を深めようと互いに貴重な美術品を貸し合って
それぞれの国で展覧することが目的だった。
それが、あちらで展示する途中、まさかの出来事でぽっきりと、
日本が貸し出した仏像の腕が折れてしまったものだから、大事になってしまった。
怒っているのは日本の研究者や持ち主の古寺で、正直、上司や今の日本には、
「まぁ、仕方ないんじゃないか」としか言いようがないのだった。
研究者達が「あちらから見れば美術品かもしれない、でも日本人にとってはただの
美術品ではないのです、仏像というものは・・・。」と、宗教的な話まで持ち出すものだから、
致し方ないことと思いつつも、日本にもその気持ちが解らないこともないだけに頭が痛い。
挙句上司に丸投げされて、保険の交渉だの謝罪要求だの、
今度の展覧会にはお詫びにあの有名な名画を貸し出してくれますよねモチロン、
とか、そういった交渉をやっと終えて、今この状況なのだ。
かといってこの場でフランスを責める事も出来ず、
「互いに上司には苦労しますね・・・。」と、日本はフランスの肩を軽く叩いて呟いた。
「あ~やっぱ優しいよ日本は。癒されるよ。いや、
俺に出来ることならなんでも言ってくださいマジで。
全力でお詫びするよお兄さん。いや、日本相手にお兄さんってのもあれなんだが。」
「なんでも…ですか。」
フランスの言葉に、さっきまでの穏やかで気遣いを見せていた日本の瞳の奥がキラリと光る。
「あ…え~、結婚してとかはちょっとビックリしちゃうよ?なんて…。」
そんなこと日本が言うはずもない、アメリカとの関係は自分だって知っている、そう思いながら、
フランスは引きつった笑顔で答えた。
「あなたにとっては…非常に大変な苦労だと思うのですが…。」
日本はさも申し訳なさそうに、けれど少し声を弾ませて、
「今度のアメリカさんのお誕生日なんですが、夜にあの方をお願いできますか?」
と、笑顔でフランスに問いかけた。
「げっ!」
そうきたか、と一瞬叫んでフランスは反射的に指で額を押さえて見せる。
考えただけでどっと気持ちが重くなる。
毎年アメリカの誕生日の日の夜には、
日本の姿がパーティー会場から消えているのは知っていた。
知っていたというより、日本にお任せしていたのだ、最悪な状態のイギリスの世話を。
イヤな酒になること請け合い、面相くさいことこの上ない役割を、
あえて日本は引き受けてくれていたのだった。
それはつまり、アメリカと日本が、
恋人同士の誕生日の夜に一度も一緒に過ごせていない事を意味しているワケで。
そのせいもあって、アメリカがここしばらく誕生日には
朝まで皆を帰さないで一晩中パーティーで騒いで過ごしていたこともまた、
フランスは知っている。
仕方ない。ここは男らしく、出来ることはすると言ったからには仕方ない。
「こ…今年だけだぜ。来年からは死んでもゴメンだぜ…。」
半分涙目になりながら顔をあげたフランスに、
「ありがとうございます。」
と、日本は命一杯の笑顔で答えた。上司には、上手く取り繕っておきますから、と添えて。
かくして、フランスの犠牲の元、
アメリカと日本は初めてアメリカの誕生日を一晩一緒に過ごすことが出来ているのだ。
肩を落としたフランスが最高級のワインボトルを片手に
部屋の片隅で一人酔いつぶれかけていたイギリスを連れ出したのを見届けると、
アメリカは周りの目も憚ることなく日本に歩み寄ってその頬に口付けた。
「今晩は、日本と二人で過ごすことにするよ!」
とびっきりの笑顔で宣言するアメリカの声に、
招待客達はハイハイと頷いて飲みかけのグラスや食べかけの皿を急いで空にする。
アメリカのワガママはいつものことだし、
消えたフランスとイギリスを見送った者達はああ、そうだよね、と頷いて見せた。
むしろ、犠牲になってイギリスの面倒を見るのが
自分でなかったことに胸をなでおろしていたりする。
フランスには気の毒だが日本に何か弱みでも握られたのかなぁと思う。
高級ホテルの最上階のスイートルームから、
目の前に広がる夜景は文句なく美しい。
お詫びの気持ちで、フランスにも同じグレードのホテルを予約しておいた。
もれなく泥酔状態のイギリスが付いてくるけれど…。
「おーい!日本も一緒に入ろうよ!」
と、バスルームからご機嫌なアメリカの声が響く。
「…。今まで、結構長い間待ってたんだぞ。」
広い湯船に浸かりながら仰向けに頭だけ突き出した姿勢で、
少し唇を尖らせて拗ねた顔をしながらアメリカが呟いた。
日本はアメリカの髪を丁寧に泡立ててやりながら、
「…お待たせしました。」と微笑して囁く。
「全く、イギリスには日本しか友達が居ないからな!」
なんだかんだと言っても、毎年結局自分からは日本と二人きりになりたい、
とは言わなかったアメリカに少し複雑な思いを抱きながら、
日本は黙ってアメリカの口から次々と飛び出すイギリスへの文句を聞いていた。
「アメリカさんは、本当に…。」
「なんだい?」
『イギリスさんが大切なんですね。』
そう言い掛けた言葉は言わない方が良い気がして、
「…かわいい人です。」
アメリカの耳元に、そっとそう囁いた。
長い夜の始まりに。

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