同時に訪れた絶頂に、一瞬互いの声と呼吸が途切れた。
「……っ…」
欲望の全てを吐き出すその瞬間は、いつも目眩に呑まれる。
全ての熱を吐き出した身体が、乱れた呼吸を整えようともがく。
平家の身体もまた同じ様子だ。激しく上下するその胸を刻は見下ろした。
息がようやく落ち着くと、今度は重い倦怠感が押し寄せてくる。
「…ふう……」
平家が一つ大きく息を吐いた。
平家も同じらしく、刻の腕の中に気怠そうな身体を預けた。
それでも視線はまだ挑発的に刻を見上げていて、汗ばんだ首筋が妙に艶かしい。
耳の上からそっと撫でるように髪に指を差し込むと、
性交の余韻を残した身体の火照りが伝わってくる。
埋め込んでいたものを引き抜くと、内部からドロリと白いものが滲み出た。
シャツをたくし上げた平家の腹部にも同じ白濁の液体が散っている。
刻がそっと平家の肌にこびりついたものを拭き取る。
中まで処理するのがいつの間にか当然になっていた。
平家は慣れた様子でその行為を受け入れる。
「相手が女性なら、こんな風に中に出す機会はなかなかないでしょう。」
目を閉じてその感触を楽しむように平家が呟く。
平家の露骨な物言いに、刻が瞬時に我に返らされる。
平家を相手に我を失くしていた先ほどまでの自分を思い出すと
思わず首を振りたくなる。
焦りを誤魔化すように丸めたティッシュをゴミ箱へ放り込んだ。、
その様子を満足げに一通り眺めてから、平家は刻の身体に伸ばした腕を巻き付けてきた。
「この身体…悪くないでしょう…?」
「ヤメロ…って…」
刻の形ばかりの抵抗を遮るようにまた唇が塞がれる。
悪戯のように唇を啄むキスを数回。そこでつい、と唇を離されて、視線を合わせられる。
刻の欲情が高まる。
もどかしくなって舌を絡めると、そのままベッドに沈み込むようにして
吸い寄せた舌をむさぼった。熱を帯びた吐息に、また昂ぶっていくのをを自覚させられる。
「…んっ…」
濡れた舌が絡み合い、奥まで貪っていく。
抗えない疼きが込み上げてきた。
息苦しいのに、どこか甘平家との行為。
諦めに似たため息を一つ履いて、刻は平家の身体をほろ苦い気持ちで抱き締めた。
fin