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甘味処巡り

全ジャンル統一ブログです。 萌え吐き出し日記です。 苦手な方・腐女子を知らない方はご遠慮ください。 妄想もあれば日常のどうでもいい話もあります。 ※冗談の苦手な方は読まないほうがいいです。※管理人は雑食のため、 ジャンル問わず様々な萌語りが入り混じってます。 ※好きなキャラへの偏愛に満ちているため 他のキャラが理不尽な扱いを受けてると思われることもありえますし、あらゆるマンガにおいてダメな組み合わせがありません。 ほぼ全てが好きなキャラへの贔屓と夢と希望と妄想です。 感想は無茶苦茶偏った腐視点です。まともな感想ではありません。 2次創作サイトの感想です。 ダメそうな方は読まないで!自衛と相互理解に勤しもう。

秘め事にすらならない。 エスフィン 

世界会議の内容を全く覚えていない。
そんな事は、エストニアにとっては珍しく、
我ながら情けない、と思った。
自然と零れるため息の後で、
一方で心の中に沸き上がる嬉しさは隠せなかった。
思い出すと、ドクン、と鼓動が早くなって、顔が熱くなる。
それがよけいに切なくて、涙が出そうになるのを堪えようと、
眼鏡の奥の瞳をぎゅっと閉じた。
「落ち着け。落ち着け。」
と独り言を小さく声に出しながら、早足で廊下を歩いく。
会議の後、夜に開かれる晩餐会の会場目指して、
靴音を全て吸収する程の高級そうな絨毯が敷かれた廊下を歩く。
角を曲がった所でエストニアは反射的に足を止めた。
視線の先に、当たり前の用に二人並ぶスウェーデンとフィンランドがいた。
それは、周知の、当たり前の、ごく自然な光景だった。
いつでも二人は一緒に居て。
二人の間に割って入れる存在など、まるでないかのように。
「でも、さっき君は。」
心の中で、視線の先に居るフィンランドに問いかけるように呟く。
エストニアはそっと、自分の唇を指でなでた。
会議が始まる直前に触れた合った感触が、鮮明に残る唇に。
解っている。あれは気まぐれ。
数カ月前、悩んだあげくに、好きだよ、と告げた自分に、
彼は一言「ごめんね、僕にはすーさんが居るから。」
と、予想通りの答を返して、
片思いに終止符を打てるはずだった。
それなのに、
どうして今日自分は「誕生日プレゼント何が欲しい?」と聞かれて、
「君が。」と馬鹿みたいに答えてしまったんだろう。
フィンランドは一瞬はっと目を見開いた後、
困った、とても困った顔をして、
「ごめんね。これしかあげられない。」と諭すように告げると、
すっとエストニアの眼鏡をはずし、
身体を固めるエストニアの唇に、同じものをそっと重ねた。
しばらく何が起きたかわからないまま、
やがて頭の一部で状況が飲み込めようとしてきた頃唇が離され、
「すーさんにはナイショだよ?」
とフィンランドがいつもよりやや低い声で呟いた言葉に
一気に現実が引き戻った感覚を覚えた時、
エストニアの頬に一筋の滴が伝ったのを指ですくい取ると、
フィンランドは今度はエストニアの右頬にキスを落とし、
「ね?」と念を押すように一言つけたした。
自分はその時、頷けたのだろうか。
頷いたつもりだったけど、ちゃんと頷けただろうか。
諦めなきゃ、と思っているのに、頭ではわかっているのに、
今も目の前の光景にこんなにも心が痛む。
フィンランドがエストニアの視線に気付き、
こちらに視線を向けてスウェーデンの腕をそっと掴んだ。
「わかっているよ」
と、必死で声を絞り出した。
この距離では聞こえないだろうことは解っていたけれど。
そして今度は、出来るだけきちんと、「うん。」と頷いて見せた。
それが、今出来る精一杯だった。
FIN

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